すごいぞ、シンガポール ~その3

ミャンマー絡み

シンガポールともゆかりのあるサマーセット・モーム。彼の作品には、熱帯によって蝕まれていく西洋が描かれている。しかし、現代のシンガポールはそうした熱帯から最も遠いところではないだろうか。

放っておくとおびただしく繁茂していく自然を莫大な労力でねじ伏せ、放っておくと無秩序に増殖する街を都市計画で押さえ、放っておくと自分勝手なことばかりやる人間を強力な罰則で管理する。できあがったのが、美しく快適で豊かなシンガポール。植民地時代の西洋人が理想としたのが今のシンガポールの姿ではないだろうか。シンガポールの住人は元々住むマレー系ではなく、外から移住してきた中国系が多くを占めるからこそ、このような人工的な国を作りあげたのだろう。それにしても、こんな国を作り上げること自体がすごい。東京23区と同じほどの面積という小さな国だったから実現できたという条件はあるが、やはりリー・クアンユーという優秀な独裁者がいたからだろう。

それにしても不思議なのが、独裁は腐敗を生み出すのが常であるがシンガポールではあまりそうした話を聞かない。私が知らないだけかもしれないが、大きな腐敗があれば国民の不満も大きくなる。民主化への動きがあまりないことイコール、腐敗が少ないということであろうか。

そうそう、ミャンマー関係の話題をひとつ。
シンガポールにはかなりの数のミャンマー人が住んでいる。ペニンシュラ・プラザというビルの3階には20軒以上のいろんな店があるがそのほとんどがミャンマー人経営の店である。東京だとミャンマー雑貨屋が数店あるが、ここでは雑貨屋ではなく電気店、マッサージ屋、旅行会社、インターネットカフェなどいろんな専門店に別れている。それだけ需要があるのだろう。正確な数字は分からないが、あるミャンマー人の話だと5万人のミャンマー人がシンガポールに住んでいるという。また、これらのミャンマー人の多くが合法的に住んでいて、オーバーステイは少ないらしい。シンガポールの政策として周辺国から優秀な学生を多く集めているという。ミャンマーからも多くの大学生が来ている。卒業後シンガポールの会社に勤める人も多い。逆に、オーバーステイには厳しい。8年ほど前に知り合いのミャンマー人がシンガポールでオーバーステイになった。すぐに捕まり、むち打ちの刑を受け強制送還になった。その鞭は非常に痛かったらしい。その彼は、二度とシンガポールには行かないと言っていた。むち打ちは別として、シンガポールのようなメリハリのある移民政策は日本も参考になるのでないだろうか。

このようなシンガポールであるが、また行きたいかと問われると微妙である。快適だけど面白みというか陰影がない。歴史、文化、民族、自然、そうしたものがすっぽりと抜け落ちている。旅行者から見ると、ミャンマーのほうがずっと面白みがある。最後に、ひとつ大事なことを書き忘れていた。シンガポールには美人が少ないのだ。街で見かけた美人はタイ人だったし、今回の結婚式でもミャンマー人出席者のほうが美人度は高かった。
シンガポール、がんばれ! と言いたいところだが、こればかりは無理そうだ。