「お茶の水ミャンマーフォーラム」に出席して

ミャンマー in Japan

ミャンマー関係のフォーラムというと、歴史、文化、政治、経済などの文系の話題が多かったが、今回は理系の技術的な話題が中心で新鮮であった。参加者も初めて見る人が多かった。セミナーの内容を非常に簡単であるが、ざっとまとめてみた。

————————————————————————-
1.ミャンマー産こんにゃくの生態調査と成分分析
    室塚聡子氏
ミャンマーに自生するこんにゃくの成分分析を行った。興味深い成分が検出された。日本のこんにゃくとの比較はこれから。

2.ミャンマーの降水環境について
    赤石布美子氏
ミャンマーの水の水質分析を行った。日本と比較すると、エーヤーワディ川やインレー湖などで、人間の生活活動が原因と思える有機汚染がかなり進んでいる。なお、大腸菌についてはペットボトルの水とホテルの水は検出されなかったが、その他では全て検出された。

3.ミャンマーの織物/生糸について
    駒城素子氏
ミャンマーの織物、主に生糸を調査。ピンウールィンの国営工場は日本の戦後賠償による機械をそのまま運用しているが、技術的、品質的にはかなり劣っている。インレー湖で織られている布の生糸は中国から輸入されているものであった。また、ハス繊維による織物は珍しいもので興味深い。

4.ミャンマーの米を中心とした食生活
    畑江敬子氏
ミャンマーの食生活を米を中心に調査。ヤンゴンの公務員を調査したところ、米食は全食事中84%、日本では半分強なのでかなり多い。他に、ミャンマーでの米の炊き方を説明。

5.ミャンマーにおける作物遺伝資源の多様性
    筑波大学 山中慎介氏
作物遺伝資源の重要性とミャンマーの作物について。参考例としてバナナが取り上げられたが、世界のバナナの多様性とミャンマー産バナナの多様性はほぼ同じようなものだった。ミャンマーでは植物の多様性が保たれていると思われる。また、これからはシードバンク方式よりも栽培地も含めた現地保全の方向性が求められる。

6.最近の麻薬対策の動き
    厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 山本順二氏
日本、世界での麻薬状況と、ミャンマーでの麻薬生産状況。世界ではアフガン産が約7割を占める。ミャンマーは最近減少傾向にある。2003年?は370トンで前年度と比較すると30%減であるが、最近、合成麻薬の生産が増えつつある。原料は中国から入ってくるのが最も多い。

7.野生薬用植物の栽培指導について
    株式会社ツムラ 篠塚義広氏
バモー近くのセイロンでの薬用植物の栽培状況の報告。多くの薬用植物をセイロン地区で栽培中で、2年間の栽培結果を調査した。柑橘類、オウレン、モッコウ、ハトムギ等が特に有望である。

8.ミャンマーの蝶
    株式会社粕谷歯科商会 川村欣也氏
短い期間であったので、詳しい調査はできなかったが、それでもミャンマーにおける蝶の多様性の一環が見えた。
————————————————————————-

非常に簡単なまとめですが、このような話を拝聴しました。化学式が出てきて頭をひねったり(数十年化学式とは縁がないという元理系の私です)ということもあったが、一般人にも分かるように話してくれた。全体の話の中でよく出てきた言葉で印象的だったのが、「多様性」という言葉だった。こちらでMSMPと呼ばれるこのプロジェクトを紹介しているので参考にしてください(ただ、このページの写真は違う写真が掲載されている)。