ミャンマーの選挙は不正だった?

ミャンマー時事

t-yamaさんからのコメントで、私ももう一度ミャンマーの選挙について考えてみた。

まず、今の軍政への支持率はどうなんだろう。私も現地では軍人にずいぶんと助けてもらった。個人的にはまじめな人が多い。地元の人たちの間でも場所によって評価はいろいろだが、警察よりは軍のほうがまともだと言われる場合が多い。でも、今の軍事政権を支持する人は少ない。私が現地の人たちと話をして感じた「感覚」だと、積極的に支持しているのは数パーセント、他に受け皿がないからということで消極的支持が20%くらいじゃないだろうか。90年代は反軍政でスーチー支持が圧倒的に多かったのが、最近は軍政への消極的支持が多少ながら出てきているように感じる。

軍人とも直接話したことは何度もあるが、軍政をどう思うなどときいてもさすがに外国人の私には正直には答えてくれない。ただ、ミャンマー人の友人の話だと、昔の同級生が軍の将校クラスに何人かいて、心情的には今の軍政を支持しないという将校も多いそうだ。

一般の人たちは反軍政が多いが、反軍政といっても反国軍ではないようだ。軍はきらいじゃないけど、タンシュエがきらいといった感じだ。それに、1988年や2007年に軍が国民に銃を向けたという事実は消えない。しかし、このあたりの感情は地方に行くとまた違ってくる。民主化云々以前に、ビルマ族に支配されるのがいやだという話が出てくるから複雑だ。

そんな人気のない軍政が行った今回の選挙、結果は軍政側のUSDPが圧倒的に勝ってしまった。アジ研の工藤氏による選挙結果の詳しいデータと考察がこちらにある。

http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/20101122.html

ミャンマーの場合は軍政といっても、中国の共産党のように全国を厳しく統制するような組織力はない。ここにも書いているように、一部の地域では比較的公正な選挙が行われ、一部の地域では動員や不正があったというのが事実なんだろう。

じゃあ、ミャンマーの選挙が欧米諸国が言うように国際的に認められないかというと微妙だ。中国や同じASEANのベトナムやラオスは選挙そのものをやってない。それでも、経済制裁しようなどとの声はどこからも上がってこない。それに、一般的には民主主義だと思われているシンガポールなどは不正選挙の見本のようなもだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB

これはミャンマーの選挙よりもひどいかもしれない。でも、国際的にはどこも非難しない。世界中がダブルスタンダードになっている。