エミさんの死

日本 in Myanmar

ヤンゴン在住の日本人にデモの話いたとき、急にエミさんの死が伝えられた。突然のことに驚いた。

2007年9月26日午前3時15分、エミさん(本名:鈴木孝子さん)死亡。93歳であった。1935年、エミさんはビルマの映画の父と呼ばれたウー・ニプと結婚、日本に帰ることもなくずっとヤンゴンの人であった。こちらのページにエミさんのことが書かれている。

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私はエミさんとは5~6回お会いしたことがある。江戸っ子をそのまま絵にしたような雰囲気の、しゃきしゃきした人であった。エミさんの家を訪問したとき、私の薄汚れたパナ(ミャンマーサンダル)を見て、すぐに新しいパナを店から取り寄せて「これを履きなさい」と言われたり、日本からのお土産は何がいいかと尋ねると、「亀の子たわし」と答え、「掃除には亀の子たわしが一番だよ」言っていたエミさんをなぜか思い出した。

最後を看取った孫娘のRさんと電話で話をした。苦しむことなく静かに亡くなったそうだ。1ヶ月ほど前、
「私もちょっと疲れた。これくらいでいいかな」
と珍しく気弱な言葉を吐いたが、Rさんが
「おばあちゃんのこと、みんな大好きなの。おばあちゃんがいないと、みんな困るの」
と答えると、
「そうだね。もっとがんばらなくちゃ」
と気を取り直したという。葬儀はエミさんが望んだ通り、ミャンマー式で行うという。エミさんはミャンマー仏教を深く信仰していた。そういえば、以前話をしていたときに、
「ビルマの仏教はいいわよ」
と、しみじみと言っていたのを思い出した。

ところでエミさん、昔からデモが大好きだったという。ちょうどデモ隊があふれた日、その日に亡くなるなんてエミさんらしいと、Rさんと納得しあった。

日本 in Myanmar

Posted by 後藤 修身