ジョロー&ナガのCD~その1

その他, ミャンマー各地

cd_naga2006_250.jpgなんと5ヶ月半ぶり、ひさしぶりのブログです。
5月からサラリーマンもどきをやっていて、ついついブログのほうもごぶさたしてました。

再開1号として、まずはナガのCD紹介から。
今年の3月にナガの村々を巡ったときに録音したものを編集した。前半はジョローというナガの歌手の歌を、後半はナガの村での伝統的な歌や賛美歌を収録している。こちらでサンプルの音が聞けるのでぜひ聞いてほしい。

まず、ジョローのことを。

gt687710_500.jpg2001年1月、レイシで行われたナガ新年祭のときに彼と初めて会った。伝統のモヒカン刈りの頭の彼が祭りの会場ですっくと立っていたのが印象的だった。そのときはシャッターを押しただけであったが、翌年、ラヘーでの新年祭のときに再会した。その新年祭では彼はソムラからやってきた音楽バンドのリーダーとしてステージに立っていた。ミャンマー側ナガでは唯一の音楽バンドだ。ステージ上でフンドシ一丁の姿になって彼は熱唱していた。そのジョローに、「今度ソムラへ行くと」と言ってから4年、やっとその言葉を実行することができた。ソムラはタンクン・ナガの中心の村でインド国境近くにある。祭りでは大いにはじけている彼であるが、普段はソムラで農業をやっている。ナガの山奥で鋤や鍬を持って働きながらも、アコースティックギターを片手に作詞作曲に励んでいるのがジョローだ。インド側までは1日あれば歩いていける距離なので、インド側のスタジオ(どんなスタジオだろう?)で録音した自作テープもある。最初はそのテープを日本で売ろうかとも思ったが、えらく音が悪い。それじゃあということで私が現地で録音してきた音が今回のCDになった。

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ジョローとジョローの子供たち

録音は村の中。宿舎(といっても、小屋のようなところ)での録音であった。夜、村が寝静まった後のローソクの光の下であった。いつもの彼の愛用のギターは隣村に置いてきたので、ギターはこの村で探してきた。なれないギターなので何度かやり直しをしながら、1時間ほどの録音だった。マイクは私の手持ちであった。録音中に村の人たちが時々やってくる、その度に録音やり直しであった。全部で10曲ほどであったが、無事録音を終えて3人はほっとした。もう一人はD先生。D先生はずっと息を細めていてくれたのだ。

ジョローの歌は聞いてのとおりフォークソング、それもカントリーっぽい雰囲気があるのが不思議である。ナガには比較的早くキリスト教が入ってきた。そのキリスト教と一緒に来たのが賛美歌である。その賛美歌の影響を受けているのだ。ミャンマーでのポピュラーソング歌手はビルマ族より少数民族が多い。ビルマ族の多くは仏教なので歌を歌う週間があまりない。逆に少数民族はキリスト教徒が多いので日曜教会などでよく歌を歌う。学校での音楽教育がないミャンマーでは、この宗教の違いによって音楽環境が全く違ってくるのだ。ということで、ミャンマーでは少数民族の歌手が多いということになる。

ジョローのお気に入りの歌手は、サイティーサインだという。サイティーサインはミャンマーのさだまさし、南こうせつである。顔は南こうせつに似ている。シャン族のサイティーサインもカントリーぽいフォークを歌う。ジョローはサイティーサインの影響をだいぶ受けているのだろう。サイティーサインというと、オリジナル曲を歌うことでも有名だ。著作権意識の薄いミャンマーでは人の曲、外国曲をさもオリジナルかのように勝手に歌う歌手が多い。曲のクレジットを見ても作詞作曲など書かれていないケースが大部分だ。しかし、サイティーサインはオリジナル歌うことをモットーにしている。ジョローもほとんどオリジナルだし、それに誇りを持っている。これは見上げた姿勢だ。

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ジョローの弾き語り、ナガの青空と風と土とろうそくの光を想像して聞いてほしい。

そう、ひとつ忘れていました。CDの売り上げの中からジョローにはちゃんと著作権料を支払います。将来は本当のプロとして音楽で生計を立ててほしいと願っている私です。