雨のゴールデンロック

Myanmar Photo

1996年の9月だった。ヤンゴンのゲストハウスに泊まっていたら、「チャイティヨのゴールデンロックの写真をパンフレットで使いたいので撮ってきて」との東京からの電話が入ってきた。え~、雨期にチャイティヨ?そんなの嫌だよ。と言いたいところだったら、ぜひともと所望され受けてしまった。
雨のチャイティヨは寒かった。濡れ鼠になっているところに冷たい風。おまけに参拝客などほとんどいない。乾期のにぎやかさからは想像もできないくらい閑散としたものだ。霧(雲)がたちこめる中、何とかまともな写真をとろうと思ったがこんな悪天候では無理だった。夜になるとライトアップされるというので、それを待つことにした。真っ暗な中、カメラと三脚を抱えて宿からゴールデンロックへ向かう。昼間より天候は悪くなり、冷たいシャワーが体を打つ。階段を上りきると、ゴールデンロックが見えた。昼間とは全く違った。ライトアップされた岩は金色に輝き、その光が雨に反射して光芒に包まれていた。

写真を撮っていて撮影条件が悪いことは往々にしてある。でも、それはチャンスでもある。普通でない写真が撮れるからだ。ただ、こうした写真をいつ撮れるかは誰も知らない。こうして出来上がった雨のゴールデンロックの写真を見ると、風景も出会いであるというのを感じる。

Myanmar Photo

Posted by 後藤 修身