ヤンゴン爆発事件、続報

ミャンマー時事

ミャンマーでは、爆発事件についてテレビとラジオで政府発表があった。
読売新聞「ヤンゴンで3か所同時爆発、数十人死亡の証言も」によると、

 【バンコク=川辺徹】ミャンマーの首都ヤンゴンで7日午後3時(日本時間同5時半)ごろ、ショッピングセンターなど3か所で、ほぼ同時に爆弾がさく裂、国営テレビは同夜、11人が死亡、162人が負傷したと報じた。

 しかしAFP通信は複数の目撃証言として数十人が死亡したと伝えている。負傷者は100人以上にのぼると見られる。

 軍事政権の支配下にある国営テレビは、事件について、「カレン民族同盟」(KNU)など少数民族武装組織や、民主化を目指し軍事政権に反対する亡命者の海外組織など4つの組織が、「国家不安定化を目的に連携して行った犯行」と断定した。しかし、犯行声明はこれまで出ておらず、KNUは関与を否定している。

 事件が起きたのは、ヤンゴン中心部にある公共施設の貿易センターと、2つのショッピングセンター。このうちショッピングセンターの目撃者の1人はAFP通信に対し、「20人ほどが死んだ。頭や足のない死体もあった」と語った。

 ミャンマーでは昨年から小規模な爆弾テロ事件が断続的に発生している。4月26日には中部マンダレーで17人が死傷する爆弾事件があり、少数民族の反政府武装勢力との見方も出ていた。

英文では、ロイター電の「Blasts kill 11, wound 162 in Myanmar capital」が詳しい。一部を抜き出すと、

The first bomb on Saturday went off at 2:55 p.m. (0725 GMT) at a Thai exhibition at Yangon’s trade centre. It killed three people and wounded more than 10 others, Thai officials said.

A second bomb exploded five minutes later at the Junction 8 supermarket, and was followed five minutes later by a third blast at the Dagon Centre shopping mall.

1回目の爆発: 2:55にトレードセンターで行われていたタイ物産展の会場
2回目の爆発: 3:00にジャンクション8のスーパーマーケット
3回目の爆発: 3:05にダゴンセンターのショッピングモール
というように5分おきに爆発が起きている。爆発場所を分かりやすいように衛星からの写真画像に場所を記してみた。この画像はNASAの World Wind というソフトで生成したものだ。黄色で書かれた場所が今回の爆発事件があった場所だ。最初の爆発のあったトレードセンターはダウンタウンの中心、スーレーパゴダから東北東へ徒歩30分ほどのところ。ここでタイの物産展が開かれていた。2回目の爆発のジャンクション8とは、8マイルジャンクションとも言われ、スーレーパゴダから約8マイルの距離にある。インヤレイクと空港の間で、空港と市内を車で走るときに通る場所だ。ここのスーパーで爆発があった。3回目はシュエダゴンパゴダから歩いて15分ほどのところにあるダゴンセンターで、このビルに入っているシティーマート内で爆発があった。

私が聞いた二次情報だと、トレードセンターの爆発では天井が落ちてきたという。ちょうど爆発のときにトレードセンター前にいた人が目撃し、その光景を私の友人に電話したきたのだ。また、爆発直後多くの窓ガラスの破片が降ってきたと言っていた。また、ダゴンセンターの近くのビルにいた人の話だと、爆発のときに地震のような揺れがあったという。また、シティーマートの前に止めてあった車のフロントグラスが爆風で割れていたのを目撃している。

土曜日の午後3時、一般の人たちで賑わう場所をわざわざ狙った悪質なテロである。このようなテロはミャンマーでは前例がない。唯一あるのは、1983年に北朝鮮の工作員によるラングーン爆弾テロ事件である。このときは韓国の閣僚を含む19名の死者を出した。これ以外にテロは起きていない。少数民族との戦いはずっと続いているがそれはあくまでも戦争であり、テロはない。昨日の政府の発表によると、

It blamed the attacks on three ethnic rebel groups — the Karen National Union (KNU), Karenni National Progressive Party (KNPP) and Shan State Army (SSA) — and the exiled National Coalition Government of the Union of Burma (NCGUB).

“These terrorist acts were carried out by a coalition of these four groups," said state television, which showed footage of badly wounded people being rushed to hospital.

A spokesman for the KNU, Myanmar’s largest armed ethnic group which has fought a decades-old insurgency against the military regime, denied responsibility.

KNPPのカレンニというのは、カイン(カレン)州とシャン州の間にあるカヤー州に住むカヤー族のことである。カレン、カヤー、シャンの各武装グループ、そして亡命政権のNCGUBを軍政はテロの犯人として名指しで批判している。それに対してカレンのKNUは責任を否定した。これまでの少数民族の戦い方からして、彼らが犯人だというのは考えにくい。すると誰が犯人であろうか?